今日は奥出雲の純そば・一風庵さんへ出雲そばを食べに行ってきました。
早朝に家を出てきたので、着いたときは開店2時間前、一番乗り～！(^_^)v

開店前なので、まだ誰もいません。
開店まで待つことにします。

奥出雲は良質な砂鉄の産地で、古代から「たたら製鉄」が盛んに行われていました。
この鉄で作られていたのは、当時の最新兵器「剣」でした。
砂鉄を集めるには、山を切り崩して、その土を川に流して砂鉄を選別する、鉄穴流し(かんなながし)という方法がとられていました。
川に流された大量の土砂が下流に堆積して、たびたび洪水を起こして、流域の住民たちを苦しめていました。
なんと、日本人は大昔から、自然破壊をしていたのですね。

しかし古代人は、破壊しっぱなしにはしなかったのです。
切り崩された山の斜面で焼き畑をして、その畑でソバを作りはじめました。
それは縄文時代から日本にあったと言われる、在来種の「小そば」と呼ばれるもので、江戸時代には幕府や藩の殿さまにも献上されていたそうですよ。

これでスサノオの神話の謎が解けましたね。
ヤマタノオロチは斐伊川の洪水、天叢雲剣はたたら製鉄で作られた剣のことですね。
たぶん後の時代になって、出雲から天皇へ献上されたものでしょう。
それではオロチ退治をしたスサノオは？ソバ作りをはじめた農民たち、あるいはその指導者と考えることもできるのではないでしょうか？

開店まで1時間を切ると、ボチボチと人が集まりはじめました。
店内にはテーブル席、カウンター席、囲炉裏のある個室を含めて42席あって、おそば屋さんとしてはかなり大きいと思いますが、開店直後にはもう満席状態、入り口付近には待っている人もいました。
平日でもこんな状態で、休日には開店前から長蛇の列ができるそうですよ。
そんなにまでしてこの店に来るわけは…

稀少種の横田小そばを使った、1日15食限定の特選そば「野の香」（ののか）です。
ちゃんとそば湯も付いていますよ(^_^)v

現在日本で栽培されているソバは、ほとんどが大陸から渡来したソバの改良品種です。
大粒で、栽培しやすく、収穫量も多かったので、日本全国に広まっていきました。
江戸時代は殿さまにも献上されていたという奥出雲の小そばは、その影響を受けてあまり栽培されなくなり、ついに絶滅寸前まで追い込まれてしまいました。
在来種は栽培がむずかしく、収穫量も少なかったのです。

そして時代は平成に…
高齢化や人手不足のため農地が荒れていた横田地区では、勤めをしている人でも可能なそば作りを考え、農業技術センターに保存されていた小そばの種をもらい受けて、栽培をはじめたのです。
このそばは、地区の名前をとって「横田小そば」と名付けられました。
敢えて栽培困難な在来種を選び、絶滅しかけていた小そばをよみがえらせた、横田の人々の心意気を感じる話ではありませんか？

なぜそれほど小そばにこだわったのか、それはこのそばを食べてみてわかりました。
香りが強く、味も濃厚なのにすっきりしていて、ほんのり甘味もあり、喉を通っていくときには、清々しい香りが鼻に抜けていきます。とても美味しいそばでした。
横田小そばは、日本の宝だと思います。

とても美味しくいただいて満足なのですが、ひとつだけ困ったことがあります。
麺食いな私なのに、こんなそばを食べてしまったら、他のそばが食べられなくなってしまうじゃありませんか～！！

🏠純そば・一風庵
　島根県仁多郡奥出雲町下横田89-2

2017.10

秋こそ鰻です！！

特選そば「野の香」